高校生活が始まって、あっという間に1年が経過します。

1年生という慣れない時期に、いろいろな事がありました。

中でも一番印象に残ったのは部活の先輩です。

私は野球部に所属していました。

ポジションはファーストです。

3年が早い時期に引退し、私はすぐにレギュラーの座を取りました。

しかし、突然練習を嫌いになり、さぼったりする事もありました。

そうしているうちに、次々と同級生に抜かされていき、私はレギュラーから外されてしまいました。

私はやる気を無くし、練習はサボるようになり、来てもまじめにやらない事ばかりでした。

それ以外にも、キャプテンのT先輩には目をつけられ、まわりの部員ともうまくいかなくなるようになりました。

ある日突然キャプテンのT先輩から呼び出しがあり、グラウンドへ行ってみたら、

そこには先輩方全員居て、床に座らせられました。

「T先輩:お前何で練習まじめにやらないんだよ。」

「私:・・・」

「T先輩:おい何か答えろ」

「T先輩:遅いぞ」

「私:・・・」

「T先輩:答えろって言ってるんだよ、きれるぞ」

「私:練習嫌いだからです」

「T先輩:じゃあ何で部活入ったんだよ、ふざけんなよ」

「私:部活やめます」

「T先輩:意味わからない」

「T先輩:やめるってどういう事だ?もう二度と部活やらないって事か?」

「私:そうです。もうやめます。」

「T先輩:やめるならお前のバットとグローブ、部室に置いてけよ」

「T先輩:野球部やめるなら野球だってもうやらないだろ?」

「私:わかりました。置いて来ます」

私が部活をやめようと思って、バットとグローブを置きに行こうとしたら、

いきなり顔面パンチを喰らい、T先輩が激怒しました。

「T先輩:そこまでしてやめたいのか?」

「T先輩:でもお前はいろいろと迷惑かけてきたよな?」

「T先輩:ただで逃げれると思うなよ」

「T先輩:俺さ、そうやって簡単に逃げるような奴、1番嫌いなんだよね」

「T先輩:だからお前が本当にやめるなら俺は今からお前をボコボコにする」

「T先輩:その後は部員全員呼んでお前をころすぞ」

「T先輩:それが嫌ならやめるな」

「T先輩:どうするんだ?」

「私:・・・」

「T先輩:どうするんだって聞いてるんだよ。」

「私:・・・」

「T先輩:きれるぞ」

「私:続けます・・・」

「T先輩:お前覚えとけよ、次からはお前だけ特別メニューでいくからな」

「T先輩:明日からちゃんと来いよ」

「私:・・・」

こういう事になり、私は恐怖のあまり、声も出せなくなっていました。

私が練習が嫌いになった理由は、T先輩から軽いいじめのようなものを受けていたからです。

その後、私は家に帰ろうとしたら、K先輩に声をかけられました。

「K先輩:俺もな、前に怒られた事あるんだよ」

「K先輩:お前と同じ年にな」

「私:そうなんですか?」

「K先輩:うん、ちょうどこの時期だったわ」

「K先輩:その時にもう1人怒られた奴がいたんだけど」

「K先輩:そいつはTに怒られてから、この部活を去ったんだ」

「K先輩:俺はやめないで続けたんだけどな」

「K先輩:多分あいつがあんなに怒ってた理由は、そのやめた部員の事で根に持ってたから必死に止めようとしてたんだよ」

「K先輩:お前がもしやめたら、自分のせいで2人やめさせちゃった事になるからな」

「私:俺はもうあの先輩が怖いので、絶対にやめます。」

「K先輩:俺はお前にやめてもらいたくないと思っている」

「K先輩:そういえば何でまじめに練習やらなかったんだ?」

「私:いつも嫌な事ばかりして来たからです。」

「K先輩:そうだったのか、あいつは遊び半分でやってたみたいだけど、本当は嫌だったんだね。」

「K先輩:Tはその事をわかってなかってないと思うから、話せばわかるはずだよ」

「K先輩:俺からあいつと部員全員にいろいろ言っとくから、お前は一度部活を休部して、明日は学校休みな」

「K先輩:あいつは乱暴だし、もしどこかで会うような事があれば、何されるかわからない。」

「K先輩:だから安全になるまで、絶対に学校来ないでね」

「私:わかりました。ありがとうございます。」

こういうようにK先輩という先輩に助けられ、私はその先輩に言われた通り、学校を休みました。

そのK先輩と言うのは、キャプテンにも副キャプテンにもなれなかった先輩で、前に凄く悔しがってた先輩です。

そしてそのK先輩がいろいろしてくれて、キャプテンのT先輩は停学になり、学校に来れなくなりました。

安心して私は、学校に行けるようになり、部活はしばらく休部を取りました。

そして何日か経ち、いつものように学校の近くのバス停で、帰りのバスを待っていたら、

突然T先輩が現れ、怖い顔をしてこっちに向かって来ます。

その時にK先輩の言った事を思い出しました。

>あいつは乱暴だし、もしどこかで会うような事があれば、何されるかわからない。

私はその時、本当に殺されると思いました。

しかしT先輩は、途中で立ち止まり、何か話そうとしていました。

「何で俺がお前を殴ったり、脅したりして止めようとしたかわかるか?」

「それはお前の事が嫌いだからじゃない」

「お前にやめてもらいたくなかったからだ」

「どうでもいい後輩だったら、止めたりなんてしねーよ」

そう言ってT先輩はどこかへ行きました。

T先輩は暴力と脅迫で、完璧な犯罪なので、停学だけではなく、部活も強制で退部届を出す事になりました。

私は部活をやめたかったのですが、まわりの人が止めたり、K先輩に助けてもらったりもしたので、やめないで続けました。

私が復帰して1ヶ月が経ち、新しいキャプテンが決まる日が来ました。

キャプテンはなんと、K先輩になったのです。

K先輩は私のために、部員全員を集めて話し合いをしたりしてくれたので、キャプテンに相応しいと思われたのでしょう。

私は、K先輩は優しくてかっこいい先輩だと思いましたが、前のキャプテンのT先輩も、怖い先輩だったけど、本当は優しい先輩だと思いました。